後藤直光(茂助)の祖について
前回の投稿後、後藤茂助家系図の複写を手に入れました。
妙典センタービルに展示されている系図の、中抜けの部分が記載されているものです。
そこには、後藤茂助の祖が
正義 磯辺杢齋二男
後藤直之助 東都本所住
であると書かれていました。
前回の投稿で「後藤直光の祖は後藤支流の磯辺家・後藤猶之助藤原正義ではないか」と推察しましたが、その推察の裏が取れたことになります。
ちなみに、この猶之助(直之助)は、磯辺家でありながら同じ後藤支流の長坂家・長坂猪之助友雅の元で腕を磨いていたようです(同じ法恩寺橋住になっている為)。
以前、江戸彫工を研究している方々が直光は長坂家が祖?と推定していたのは、ここに理由があります。
代々の詳細
前回の投稿で不詳とした代々の詳細も、その後の調べで判明してきました。
長坂猪之助友雅が寛政・享和頃の人なので、その頃後藤猶之助正義の下で腕を磨いていたという仮説での年号です。
平均寿命を考慮し、初代・二世は約20年、三世・四世は25年、五世・六世は35年を考えています。
世襲の間には病に倒れる事もあるので、これはあくまでおおよそです。
仮に自分の子ども位の腕の良い弟子に技術を継承させようと思うと、25年位が限界です。
彫刻師は、万世一系ではなく、養子もあり得ます。
四世頃までは、茂助という雅号の墨書きや刻銘が多いです。
五世以降、直光という雅号を用いるようになります(堂宮彫刻師から神輿師への転換期)。
後藤茂助中心の彫工集団から、後藤直光という総合請負会社に代わってくる。
この頃から神輿の製作が増え始めた事により、木地師、塗師、錺師、彫刻師を雇い、後藤直光という会社組織にして堂宮彫刻と同時に、神輿製作にシフトしていったんだと思います。
堂宮彫刻の主な作品
●四世茂助 置友
安政6(1859)年 萩原鳥見神社本殿 印旛郡印旛町萩原
彫物師 茂助 同茂助倅 茂吉 ※印旛村史
明治10(1877)年 八坂神社本殿 東葛飾郡沼南町若白毛
彫物師 渋谷茂助置友 墨書き
●五世茂助 茂吉
明治34(1904)年 原木山妙行寺・本堂 市川市原木
推測 年代は、本堂擬宝珠刻字
明治37(1907)年 時平神社本殿 八千代市萱田町
行徳町彫刻師後藤直光 向拝竜裏「直光」刻銘
明治42(1912)年 龍神社 船橋市海神
推測
●六世茂助 三吉
大正8(1919)年 原木山妙行寺・山門 市川市原木
彫刻師後藤直光 刻銘
大正14(1925)年 尾鷲神社本殿 千葉市花見川区検見川町
彫刻師後藤直光 刻銘
大正14(1925)年 釈迦堂 野田市野田
彫刻師後藤直光 刻銘
大正14(1925)年 妙栄峯妙好寺 市川市妙典
彫刻師後藤直光 刻銘
大正14(1925)年 海厳山徳願寺 市川市妙典
彫工 後藤直光 刻銘
以上、江戸彫工まとめサイト(現在は閉鎖)を参考にし、自分なりに考察してみました。
系図に書かれている三世までの時代は、未だ解明されず…。(千葉県旭市 志ん一さん)
こんなに詳しい知識をお持ちの志ん一さんとは、いったい何者?と思われる方も多いと思いますので、少しご紹介を。
志ん一さんは旭市の方ですが、地元の神社の神輿を始め、近隣にも後藤神輿がいくつも存在することから、幼少の頃から後藤神輿を見て育ち、大ファンになったとのこと。大変研究熱心な方で、行徳の神輿関係者にも通じていらっしゃいます。
こちらの投稿でもご紹介したように、後藤神輿店の2代目の看板も所有されています。
行徳の誇りである神輿のことをこんなに愛してくださる方がいらっしゃるというのは、行徳民としてもうれしいことですよね。(2021/8/26 WG)
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直井豊 (水曜日, 08 12月 2021 01:54)
五反田 氷川神社の神輿は、
屋根の彫刻の素晴らしさ、
神輿の大きさ、形、
どれをとっても、他に類を見ない出来栄えです。
ここ地元の鳶職、桐若によって、
今までの神輿の馬を持っていき、
これにあう、神輿を作ってとオーダーしたところ、予想より大きな神輿が出来てしまい、管理しきれないと判断した、桐若睦が、神社へ奉納されたのが始まりらしいです。
ですから、今でも、町会じゃないのに、桐若の鳶職の自宅前だけ、
神輿をさします。
沢山後藤直光を冠した神輿はありますが、作りが別格です。
わっしょい!行徳 (水曜日, 08 12月 2021 21:48)
直井さま、ご投稿ありがとうございます。
画像を検索して拝見しましたが、すごそうですね。
行徳の神輿の神輿自慢は、行徳の人たちにとっても誇らしいお話です。
ぜひ詳しいご紹介や、そちらの地元での様子などを、お写真と共にあらためてご投稿いただけるとうれしいです。