古くから、魔除けの意味をもつ縁起物として親しまれている獅子頭。
「神輿のまち」行徳では、神輿と共に立派な獅子頭を所有する神社も多く、当サイトで把握している神社の獅子頭は、下記の8対です。
製作者がわかっているものはすべて行徳の神輿店で作られています(後藤直光作)。
獅子頭は、オスとメスの2体で一対です。
頭の上に角が生えているのがオス(上の写真:左or上)、丸い宝珠を載せているのがメス(同:右or下)です。
この並べ方は神社により違いが見られます。
獅子の耳も、オスメスともに下を向いているもの、オスだけ立たせているもの、両方縛られた状態のものなどがありますので、注目して見てみるとおもしろいと思います。
本体にも目印が |
私たちが目にする獅子頭は、組み立てられた完成形です。 頭の上に角や宝珠を載せているので、オスとメスの区別がつきます。 では組み立て前の本体は、オスとメスをどうやって見分けているのでしょうか?
下の写真は、押切稲荷神社の獅子頭の、組み立て前の本体を上から見たところです。 頭のてっぺんに、見分けがつくように目印が刻んであるんですね。
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では各神社の並べ方を写真で具体的に見てみましょう。
※写真をクリックすると拡大できます。
上妙典の祭礼 八幡神社
祭礼のときの写真です。
向かって左がオス、右がメスです。
耳は両方下を向いています。
以下は並べ方が変化している神社です。
関ケ島の祭礼 胡籙神社
祭礼のときの写真です。
向かって右がオス、左がメスです。
ところがこちらも…
2018年の行徳ふれあい伝承館のオープニングイベントや
2020年の行徳神社めぐりでは、祭礼のときと左右が逆になっていました。
関係者に話を伺ったところ、昔からオスが右でしたが、逆ではないかという意見があり、近年変えるようになったとのこと。
下妙典と同じようなタイミングでの変更となりますが、まったく逆の流れとなっているのが興味深いですね。
耳はオスメス両方ともずっと紐で縛られたままです。
これは、祭礼で獅子頭を激しく揺するため、耳が取れないための措置だそうです。
関ケ島では、台輪に載せずに担ぐので、縛っておかないと取れてしまうのでしょうね。
また、重くて(漆塗りで)滑る獅子頭を落とさないよう、担ぎ手が掴むための紐でもあるそうです。
2021年の行徳神社めぐりでは、また元の並べ方に戻り、以降向かって右がオス、左がメスで定着したようです。
皆さん、並べ方に試行錯誤されているようですね。
行徳の神輿関連施設での展示を見てみると…
ここからは当サイトの考察になりますが、獅子頭の並べ方の違いは、「左上右下(さじょううげ)」という日本の伝統礼法に基づくか、西洋マナーに基づくかによるのでは?と思います。
中国では唐の時代、皇帝は北極星を背にして南を向いて座るのがよいとされ、太陽は皇帝から見て左の東から昇り右の西に沈むことから、左の方を上位としたそうです。
日本には飛鳥時代にこの考え方が伝わり、「左を上位、右を下位」とするしきたりとなりました。これが「左上右下」です。中国では時代によりどちらが上位になるかは変わったそうですが、日本ではこの「左上右下」が伝統として受け継がれていきました。
この礼法にのっとると、左側が上座で右側が下座、つまり当人から見て左(向かって右)が男性となります。京雛がこの並べ方です。
一方、西洋では、英語で右を「正しい」の意味がある「right」というように、右側が上位とされています。オリンピックの表彰台も、金メダルを真ん中に、銀メダルが右(向かって左)、銅メダルが左(向かって右)ですね。
日本も文明開化後にはこの国際社会のルールを取り入れるようになり、皇室でも天皇が皇后の右(向かって左)に立たれるようになったことから、これが主流となり定着しました。関東雛や結婚式の高砂席などもこの並び方。今ではこちらの方が見慣れていますね。
結局のところ、どちらも間違いではなく、古来の様式にのっとるか、近年の様式にのっとるかの違いなのかもしれません。
このほか気になっているのは、神社にある狛犬との関連です。
狛犬って、犬というよりは獅子に似ていますよね。
ルーツを調べてみると、元はインドで仏を守る聖獣のライオンで、これが中国に伝わって獅子となり、朝鮮半島を経由して日本に伝わったそうです。日本では見たことのない異様な獣の姿を見て、「高麗の犬」→「こまいぬ」と呼ぶようになったのだとか。
奈良時代までは獅子2頭で一対だったのが、平安時代以降に、獅子と狛犬の組み合わせとなったそうです。
そして、口を開けている(阿行)のが獅子で向かって右、角があり口を閉じている(吽形)のが狛犬で向かって左となりました。
鎌倉時代には狛犬の角がなくなり、狛犬と獅子の違いは少なくなったようです。
神社でも、角のある狛犬自体なかなか見かけませんが、ある場合は向かって左に配置されているようです。
もし獅子頭の並び方もこれと関係があるのなら、角のあるオスが向かって左ということになるのでしょうか。
それとも、全く関連性はないのでしょうか。
詳しいことをご存知の方がいらっしゃいましたら、こちらからご教示いただけると幸いです。
関係者から獅子頭製作途中の貴重な写真をご提供いただきました。
昭和時代に撮影された、塗りの工程前のものです。
彫刻の素晴らしさがあらためてよくわかりますね。
獅子頭を頭に被って舞う「獅子舞」は、日本で最も数が多い民俗芸能ともいわれ、全国の祭りでもさまざまな形で行われています。
行徳の祭りでは、イベントの祭りである「行徳まつり」のオープニングセレモニーに登場するくらいで、基本的に獅子舞は行われていません。
行徳には、伝統的な獅子舞ではなく、獅子頭の「担ぎ」を披露する祭りが3つあります。
「わっしょい!」の掛け声で神輿渡御のように勇ましくまちを歩くのが特徴です。
下妙典の祭礼
大きな獅子頭を台輪に載せ、神輿のように担いで町内を練り歩きます。
これらの祭りについては、行徳の祭り一覧>各祭りのページで詳しく紹介していく予定です。
順次アップしていきますので、気長にお待ちくださいませ。 m(__)m